—古の歴史と自然が織りなす神聖な地
往馬大社(いこまたいしゃ)は、生駒山を神奈備(神の宿る山)として祀る日本有数の古社です。鎮守の杜は奈良県の天然記念物に指定され、太古からの自然が今も残ります。主祭神は生駒山に鎮座された二柱の産土神と、鎌倉時代に祀られた五柱の八幡神で、山の生命力と火を司る神として崇敬されています。
平安時代の文献『北山抄』や『亀相記』には、天皇の大嘗祭に使用する火きり木を納めていた記録があり、令和の大嘗祭にも御神木である上溝桜が用いられました。毎年10月のスポーツの日の前日に行われる火祭りは、この長い歴史を背景にした伝統行事で、奈良県の無形民俗文化財に指定されています。


往馬大社の「火祭り」
往馬大社(いこまたいしゃ)の火祭りは、平安時代から火との深い関わりを持つ歴史に基づく伝統行事で、奈良県の無形民俗文化財に指定されています。神輿渡御では、自然の象徴である生駒山から神さまが神輿に乗り里に降りる様子を再現。祭りは高張提灯を先頭に色鮮やかな行列が続き、秋の豊作を祝う御供上げや大松明の行事が行われます。
火祭りのクライマックスは「火取り行事」で、神聖な神の火が「人の火」へと移され、火取りが石段を駆け降り境内を走り抜けます。この壮大な行事は、神聖な火の力を里に伝える重要な意味を持っています。

往馬大社
(いこまたいしゃ)
住所:奈良県生駒市壱分町1527
電話番号:0743-77-8001
拝観料:参拝は無料 ※駐車場完備
アクセス:近鉄生駒線「一分(いちぶ)駅」から徒歩約10分